「持続可能な暮らし」「SDGs」といった言葉がすっかり定着しているこの頃です。
「地球環境にを破壊しない暮らしって何だろう?」という疑問の一つの答えが、
筆者の行った実践的な生活記を通して、理解できると思います。
『地球再生型生活記 土を作り、いのちを巡らす、パーマカルチャーライフデザイン』
著者:四井 真治
編集人:アノニマ・スタジオ
2023年10月15日 発行
日本の風土に合わせたパーマカルチャーを20年実践してきた著者が、持続可能な暮らしの中で培ってきた理念と実践(生活実験)の記録です。生ゴミや排泄物を堆肥化し、生活排水は庭のビオトープに活用。農園で食べ物を自給し、収穫物を人や動物が摂取することでまた、堆肥として活用できる……。人が暮らすことでその土地に多様性が生まれ、より豊かな自然環境を作ることができれば、やがて地球は本来の力を取り戻せる。本当の豊かさを追求して著者が辿り着いた「いのちの仕組み」は、ひいては社会のあり方や私たちの生き方に繋がっていきます。
2章、3章で書かれている実践的な暮らしの様子が本書の中心的な内容かと思います。
私が本書を購入した理由は、以下の通りです。
・アマゾンのおすすめに出てきたこと(農業関連書を多く購入、閲覧していたため?)
・パーマカルチャーという言葉は知っていても、具体的な知識がなく、内容を知りたかった為。
・千葉県木更津市の「クルックフィールズ」の存在をHPで知っていて興味を持ったため。
【感想】
まずは著者の方の知識とそれに基づいた計画、実践能力の高さに驚きました。
老後の田舎暮らしや、農的な暮らし的なライフスタイルに憧れる気持ちは私の中にもありますが、だれもが気軽に真似できるものではないと思いました。
パーマカルチャーをデザインすることを生業としている著者とその家族の方々だから行える、まさに生活実験だと思います。
そっくりそのまま取り入れることは都市の生活者にはもちろん、田舎の生活者にも難しいが、人間が生活するうえで起こる環境破壊を最小限にするにはどのような方法があるのかという答えがあると感じられます。
また、既存の道具や環境をうまく活用していく様子も描写されています。壊れたらすぐに新しいものに買い替えられることだけが豊かさではなく、自らをの手を動かし、技術や生活力を身に着けることも豊かさの一つだと感じました。
就農を検討するうえでは、農業の業的な部分ではなく、農的な部分にとことん焦点を当てた内容として読むこともできると思います。
4章 コミュニティーと、未来の暮らし で語られる農家人口ではなく「農的暮らし」人口を増加させることが持続可能な社会を実現することに繋がる旨の内容は、納得感がありました。
また、実践的に何をどれだけ植えるとか、堆肥づくりのレシピが載っているのではなく、あくまでも「生活記」という内容に沿って書かれています。